ビュンという音とともに赤い乾坤圏が空を駆け抜ける。はそれをギリギリまで待ってかわした。宙に浮かびながら、は自分の持つ棒型の宝貝を思い切り振り、ナタクめがけて風を起こす。ナタクもと同じように、ぎりぎりのところでそれをかわした。その勢いでナタクがへと一気に近づく。接近戦に持ち込んだのだ。が自分の宝貝で直接打撃を与えようとしたところで、ナタクは急上昇し、本人ではなく、そのまわりを乾坤圏で破壊する。砂煙が立ち込め、は自分の口元をおさえた。直後、ナタクがの後方に立ち、彼女に乾坤圏を向ける。しかしはすぐに自分の宝貝から風を送り、ナタクの周りに砂煙をたてた。それでもナタクは容赦なく乾坤圏を発射させたが、すでに自分のまわりの砂煙は皆無ののとって、それを交わすのはとても簡単なことだった。ナタクが砂煙の中から出てきたところを狙って、が竜巻状の風を素早く送った。ナタクもそれをよけたものの、頬からは一筋の血が流れている。お互い、ほのかにだが口元をニヤリと緩ませている。笑っているのだ。がナタクの笑っているところを見るのは、この擬似戦闘以外にはない。まだ戦いは終わることを知らない。



(ティンカーベルに会いたかった/2006.12.11 なぎこ)
(戦いの描写を書きたくて、つくったお話です。
ナタクとこの女の子にとって、戦いはセックスのようなもの)