「それじゃあ、。君の思うことを聞かせてくれないかな」
「わかった。だけど、本当に私が口出してよいことなのかしら」
「口出し、なんて思わなければいいんだよ。君が考えるありのままを聞かせてほしいんだ。ほら、友達なんかに話すように軽い感じで。別にここは朝歌でもないんだし、俺しかいないんだから、厳しいこともはっきり言ってほしい」
「じゃあ言うね。最近の殷の国は、はっきり言って最低だと思うの。聞く話だからどこまでが本当かはわからないけれど、民が飢えている中、城では好き勝手をしているというし」
「その話は俺のところにも届いてる。今度四大諸侯が朝歌によばれたらしいから、その時に誰かしらが忠告するみたいだけど」
「そうなの。安心する反面で少し心配ね。忠告として聞いてくれるといいけど」
「まあ大丈夫なんじゃないの。紂王だってそこまで腐りきってはないだろ。で、はどうすればいいと思う?」
「難しい質問。そうだなあ。紂王さまがどんな調子かはわからないけれど、一番は彼が元に戻ってくれることよね。それについてあなたはどう思う?」
「残念だけど、それは無理の気がする。一度失った信頼を取り戻すのって難しいから。たとえ一時は凌げても、終わりは見えてる」
「殷の時代も終わりが近づいているのかあ。ゆっくり歴史が動こうとしているのね」
「だとしたら、後継者は誰がいい?」
「西伯候の姫昌さまが適任じゃないかと思うの。残念ながらあなたのお兄様は、楽なほうへ逃げてしまいがちなところがあるから。こういう小さい地方なら問題はないでしょうけど、この国全体ってなると大変な気がする」
「あはは、まあ、ここが田舎だからいいのかもな。でもどうして西伯候?」
「あら、わからないの?固すぎず、柔らかすぎず。少しやさしすぎるのがたまに傷かな。でも、彼の息子たちも優秀な方が多いみたいだし。一人が完璧じゃなくていいのよ。それを補える人達がいれば。それに、完璧すぎるのって何かちょっと嫌じゃない。欠点があったほうがかわいいわ」
「さすが俺の妻になる女だなぁ。話してておもしろいよ。少し態度がでかい気もするけど」
「ふふ、褒め言葉として受け取っておくわね」
「今日はありがとう。また民衆の声として聞かせてな。」
「もちろん。民衆の声のうちはご自由にどうぞ」





(世界を沢山愛する人へ/2006.11.11 なぎこ)
(崇黒虎には嫁がいると萌える)